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今日も世界は廻り続け──
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本日は活動時間の大半を某方とのおしゃべりに費やしました!
私はとっても楽しかったのですが、某方のお時間を占領してしまって申し訳ない…!(ヒィ)
◎コメレス
★真城氏
┗ぎゃーあー!コメント有難う御座います!!
迷惑だなんてとんでもない!ようこそです…何も無いうすっぺらなブログですが歓迎いたしますよ!
そしてステキロルは回せていませんし文才も皆無です…(ヒィ)
でも、コメを頂いた事で(ェ)書いたまま放置していたブツを掲載する覚悟が出来ました。(笑)
駄文ですけれども…!
虜になったのはこちらの方です。キッコーちゃん大好き!(ラヴ!)また遊んでくださいね。
そんなこんなで、このブログ初の小話。ホロウとホロウのママのお話。
PBC関連で小話って、振り子時代にも書かなかった気がします……ヒィ。初?
ガッカリな文章力ですので、ご一読い頂く際は、ご覚悟を決めてからどうぞ…!
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分厚く重なり合った灰色を眺める。
其処から、溶けるように透明の雫が零れるのを、心のどこかで期待しながら。
【晴れ時々曇りの朝。】
ホーちゃん、と、柔らかな呼び声がホロウの耳に届いた。生まれてから毎日耳にしている、母──ベルの声だ。
ハ、として、ホロウは窓の外へ向けていた意識を手繰り寄せた。視線を戻すと、ベルと目が合う。
生まれたばかりの息子を胸元に抱えて、ミルクを与えながら、ベルは不思議そうに首を傾げていた。
お世辞にも広いとは言えないリビングの、大きな円卓に、ベルと向かい合ってホロウは座っていた。空になった食器が、無造作に置かれている。朝食を食べ終えたところだった。
「どうかしたの?」
「へ?あ、いや、何でもねぃよ。…あれ、父ちゃんは?」
「さっき、お仕事に行ったわよぉ。」
へ、と、情けない声が出た。先ほどまで父がいた席を見遣るが、確かに、其処は既に空席となっている。
いつの間に。すっかり曇り空に心を奪われていた事を自覚して、ホロウは溜め息を吐き出した。
「…気付かねかった…」
「あらあらぁ。ボーっとしていたものねぇ。お外、気になるの?」
「──…まぁねィ。残念だねィと、思ってよ。」
「お天気?そうねぇ、やっぱり、晴れが良いわよねぇ。ポカポカが、一番。」
同意を求めるかのように、にっこりと微笑むベルに、ホロウは苦笑を隠した。天気は、確かに残念だけれど、彼女の言う残念とは、違うからだ。
雨が良かったんだ、なんて、言ったらどんな顔をするのだろう。
「…そうだねィ。晴れの方が仕事ははかどらァ。」
「あらぁ、晴れじゃなくっても、ホーちゃんは頑張ってくれてるわよぉ。ママの自慢なんだか……あらあらあら、」
ベルの上半身が、大きく傾いた。緩くウェーブの掛かった長い髪を、小さな手が掴んで、引っ張っている。
慌てて離させようとするが、幼子の力は案外強い。
「こらこら、だめよぉ。ホーちゃん、助けて、たすけて。」
「へぇい。」
椅子から立ち上がって、ホロウはベルの傍らに屈みこんだ。ほんの少し力を込めるだけで折れてしまいそうな、小さく細い指を、両手を使ってそうっと開かせる。
するりと零れた茶色い髪を掴んで、背中の方へと流してやった。
「ありがとうね、ホーちゃん。助かったわぁ…あら、そろそろお仕事の時間ねぇ。」
視界の端に時計を捉えて、ベルがホロウを見た。髪の代わりに、とばかりに指を握り締めてきた手を、ゆるゆると振りながら、ホロウは頷く。
裕福な家では、無いのだ。この小さな弟の為にも、仕事に出なければならない。判っているのに、それでも窓を叩く水音を聞きたくなる。それは何だか悪い事である気がして、ホロウは弟に苦笑を向けた。
ベルは腕を伸ばし、机の上に置いてあったホロウの帽子を取り上げた。そうして、そうっとホロウの頭に乗せてやる。
ぽんぽん、と、帽子の乗った頭を撫でれば、ホロウが驚いたように顔を上げた。
「?かあちゃ、」
「ママねぇ、ホーちゃんが大好きよぉ。だからね、ホーちゃんが思ってる事、ぜぇんぶわかっちゃう。」
やんわりと紡がれる言葉を、ホロウは帽子の位置を直しながら聞いた。
ベルは、相変わらず、穏やかな笑顔を浮かべている。
「お休みしたい時は、ちゃあんと言わなきゃだめ。悪い事じゃないの…ね?」
「………。」
この母に、隠し事なんか出来ない、と。
そう実感するのは何度目だろう。
にこにこと笑いながら、いつだってしっかりと息子達と向き合う母だ。体調不良も悩みも、バレなかった試しが無い。
嬉しくなって、ホロウは帽子の鍔に手を掛けた。ぐい、と、目深に被ってから、口を開く。
「おいらァ、仕事が、好きなんでィ。」
「えぇ。」
「だから、休みてェなんて、思っちゃねぃよ。」
「そぉ。」
「でも、…おいら、雨、降って欲しいん、だ。」
「どうして?」
「…雨の日って、約束、したから。」
そう、と、ベルの手が、ホロウの頭を離れた。
赤子の背を撫でながら、先ほどまでホロウが眺めていた空を、窓ガラス越しに見上げる。
誰と、とは、聞かれなかった。もう判っているらしい。
「なら、お休みじゃあ、ダメねぇ。雨じゃなきゃ。」
「うん。」
「雨、降らないかしらねぇ。」
「ポカポカが一番、じゃあねかったんかィ。」
「あらぁ?ママ、雨の日が大好きよぉ。ホーちゃんが生まれたのは、雨の日だったもの。嬉しかったわぁ。」
そう言って、本当に嬉しそうに笑う横顔に、ホロウも笑みを零す。この母には、本当に、敵わない。
ベルと、ベルが支える家族がいるから、金も、新しい服も、高級な料理も、ホロウにとってはちっぽけなものになるのだ。
それは何より幸せな事だと、そう思える自分は嫌いではない。ホロウは鞄を肩に掛けた。
「明日は、きっと雨よぉ。ママ、たくさんたくさん、お祈りするわね。」
「うん。」
一つ頷き、ホロウは玄関へと足を向けた。靴を履きながら、息を吸う。曇りらしい、ほんの少し湿った空気だった。
「母ちゃん!」
転化する前に、声を上げる。見送りに出てきたベルへ、ホロウは思いっきり笑って見せた。
きっと、母はもう判ってる。それでも、ちゃんと言いたかった。
「おいらぁ、友達が、出来たんだ!たぶん、ぜってぇ、好きんなれる友達なんだ!」
「──そう。良かったわねぇ、ホーちゃん。」
返事を待たずに飛び出した白梟の姿を目で追いながら、ベルは、自分の事のように、嬉しそうに嬉しそうに、微笑んだ。
「ホーちゃんのお友達なら、ママもそのお友達がだぁいすきよ。」
白が、どんどんと小さくなって、見えなくなった。ベルは、玄関を閉めてリビングの窓辺に向かう。
そこに下げているてるてるぼうずを、回収する為に。
──本日、晴れ時々曇り空。明日は、きっと、雨になる。
END
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ホロウのママはおっとりのほほんとしたスローペースな方。おしゃべりもスロー。
ホロウはママが大好きっていう。
駄文、失礼しました!